往診同行では、薬剤師が患者の状態や医療チームのニーズに応じて、処方提案を行う機会があります。たとえば、病状の変化に伴う薬剤の見直し、内服困難な患者への剤型変更、副作用の可能性を考慮した薬剤中止の提案、さらには腎機能や肝機能を踏まえた適切な用量調整など、その提案内容は多岐にわたります。医師との直接的なコミュニケーションを通じて、薬剤師の専門知識を最大限に活かすとともに、現場での経験が新たな学びとなり、自身のスキルをさらに向上させることができる点が大きな魅力です。

近年、ポリファーマシー（多剤併用）の問題が社会的に注目されており、高齢化の進展に伴い、複数の疾患を抱える患者に多種類の薬剤が処方されるケースが増えています。ポリファーマシーは、薬剤の相互作用や副作用のリスクを高め、患者のQOL（生活の質）を低下させる要因となることが指摘されています。こうした背景から、薬剤師が減薬の提案を含む適切な薬物療法の調整に積極的に関与することが求められています。

往診同行の場では、患者の全体像を医師と共有しながら、不要な薬剤の中止や代替薬の提案を行い、処方の適正化を図ることが可能です。このプロセスを通じて、薬剤師はポリファーマシー問題の解決に貢献するとともに、患者の安全性と治療効果を向上させる重要な役割を担います。現場での実践を重ねることで、薬剤師としての知識やスキルをさらに高め、医療チームにおける価値を発揮できる点が大きな魅力です。

往診同行時に処方変更が行われた患者に対して、服用後の経過を丁寧に観察し、薬の効果や副作用の有無を確認して医師へフィードバックすることが、薬剤師の重要な役割の一つです。在宅専門薬局では、薬をお渡しするだけにとどまらず、その後の治療経過をしっかりとフォローすることで、患者の安全性を高めるとともに、医師や医療チームへの貴重な情報提供を通じて医療全体に貢献できる環境があります。こうした一連の取り組みは、薬剤師の専門性を発揮し、患者に寄り添う質の高いケアを実現する大きな魅力です。