新人薬剤師の皆さんへ。

皆さんがこれから活躍されるこの社会は、急速な高齢化とともに、医療の在り方そのものが大きく変わろうとしています。

病院中心の治療モデルから、地域・在宅へと視点を移した「地域包括ケアシステム」が全国的に整備され、医療と介護が一体となって“住み慣れた場所で最期まで”を支える時代に入りました。
そんな中で、私たち在宅訪問薬剤師・施設訪問薬剤師の役割は、年々その重要性を増しています。単に薬を届けるだけではありません。患者さんの生活の場に入り込み、服薬状況や副作用の確認、残薬調整、他職種との連携、さらにはご家族へのサポートまで、多岐にわたる支援を行います。
薬剤師がご自宅や施設に足を運び、直接患者さんと向き合うという仕事には、これまでの「薬局内業務」とはまったく異なるやりがいがあります。実際の暮らしの中で、患者さんがどんな工夫をして薬を飲んでいるのか、どんな不安や困難を抱えているのか――それらは、机上の処方箋や病院のベッドサイドだけでは決して見えてこないものです。
例えば、認知症の進行によって服薬が困難になっている方、複数の病院から多くの薬が処方され、ポリファーマシーが進んでしまっている方。あるいは、独居高齢者で見守る家族もいない中、誤薬を繰り返していた方。こうしたケースに対応できるのは、患者の「生活そのもの」を見ている在宅薬剤師だからこそです。
また、在宅・施設医療では「チーム連携」が要となります。医師、看護師、ケアマネジャー、訪問介護員など、多職種と常に情報を共有し、患者一人ひとりに最適な支援を提供していく。その中で薬剤師は、薬物療法の専門家としての立場だけでなく、生活支援のパートナーとしても存在感を発揮します。
さらに、デジタル技術の進化により、遠隔モニタリングや電子カルテの共有なども普及しつつあり、訪問薬剤師の働き方にも新たな広がりが見え始めています。ICTを駆使しながら、より的確で迅速なケアを実現する時代がすぐそこにあります。
一方で、在宅や施設訪問の現場には、「正解がひとつではない」難しさもあります。患者さんやご家族の価値観、生活背景、経済的な事情などを踏まえながら、その人にとって最善の薬物療法を柔軟に考える力が求められます。そのたびに薬剤師自身が悩み、学び、成長していく――それこそがこの仕事の醍醐味でもあります。
皆さんがこれから向き合う在宅・施設の現場には、「人の暮らし」があります。

命の最期をどう迎えるのか、どう支えるのか。そうした深い問いと真正面から向き合いながら、人と人とのつながりの中で医療を実践していく――それが在宅訪問薬剤師という職業です。
病院や調剤薬局での経験ももちろん貴重ですが、「患者の生き方に寄り添う」ことに関心があるなら、ぜひ在宅というフィールドを視野に入れてください。

この道には、深い感動と、大きなやりがい、そして薬剤師としての本質的な成長の機会が詰まっています。
薬剤師の未来は、確実に変わりつつあります。そして、その変化の中心には、皆さんのような若い力が必要です。
どこで働くかではなく、誰のために、どう働くか。その問いに向き合うとき、在宅訪問薬剤師という選択肢は、きっとあなたの職能を豊かに広げてくれるはずです。

在宅訪問薬剤師として社会に貢献したい皆さんは、ぜひ当社をおたずねください。

お待ちしております♪